「カ行」が言えない そのうち治る?
長男が「カ行」と「ガ行」が言えないことはずっと気にはなっていました。例えば、2、3歳頃の長男は電車ごっこが大好きでしたが、踏み切りの音を「カーン、カーン」と言っているつもりが、「ターン、ターン」となっていたし、お友達の「こころ」ちゃんのことを「ととろ」ちゃんと言ったりしていました。
保健所の3歳3カ月健診時に相談すると、「4歳になっても変わらないようでしたら、連絡してください」と言われました。
結局、4歳になっても変化はありませんでした。でも、夫も祖父母も長男の発音はそんなに気にならないと言っていました。そう言われれば、それほど気にならないような気にもなり、保健所に連絡はしませんでした。
心の底ではずっと気がかりではありましたが、きっとそのうちに治るだろうと前向きに考えるようにしていました。長男には申し訳ないのですが、長男が4歳の時に次男が生まれ、自分自身がいっぱいいっぱいになり、それどころではなかったというのもありました。
幼稚園の年長になって、夏休み前に担任の先生から発音のことで指摘を受けました。幼稚園に入る前に提出した調書に一応、発音のことは書いておいたので、「保健所に連絡はされましたか?」という確認と同時に、最近、お友達との会話の中で長男の言葉が聞き取りにくく、聞き返されたりする様子がたびたび見られるようになっているとのことでした。
さすがに年長にもなると、もうごまかしはきかなくなっていました。「ととろ」ちゃんと呼ばれた「こころ」ちゃんは、「ととろじゃない!」と言うようになりました。
それでも、もう少し様子を見てみたら変わるかもしれないとまだ思っていました。でも10月に6歳の誕生日を迎えても変わらず、ようやく「やっぱりちゃんと保健所に連絡しよう!」と動き始めました。
誤算
保健所に連絡して専門の先生に診てもらったら、すぐに治るものだと思っていました。でもそんなに簡単に事は進みませんでした。まず、児童福祉センターで言語聴覚士の先生に診てもらうのですが、その予約が順番待ちで、診てもらうのに1カ月以上かかるというのです。
こんなに放っておいて勝手ですが、小学生になるまでには治してあげたいと思いました。なんとか約1カ月後に予約が取れて検査をしてもらったところ、長男は「カ行」と「ガ行」が発音できない、機能的構音障害と診断されました。
器具を使って簡単に治る場合もあるそうですが、息子の場合は簡単には治らず、最低6カ月くらいの訓練が必要になるとのこと。どう逆算しても、小学校入学には間に合いません。でも、そもそも児童福祉センターでの療育は、就学前の子を対象にしているので、うちの子は今の時期では予約は取れないとのことでした。小学生は小学校に「ことばときこえの教室」というのがあり、そこでの訓練になるというのです。
小学校入学前になんとかしたいと相談すると、有料にはなりますが言語訓練をしている病院があるとのことで、紹介していただくこともできました。しかし自宅から通いづらい場所で、下の子の手もかかっていたこともあり、断念しました。長男の場合は、自宅で変に訓練すると余計に習得しづらくなることもあるとのことで、自宅で訓練はしませんでした。ただ、「カ行」の習得には、ガラガラうがいがいいと言われたので、ガラガラうがいは欠かさずにするようにしました。
小学生になって
「ことばときこえの教室」の授業は言葉の先生とのマンツーマンで、週1回、国語の時間を利用して行われました。長男の通う小学校は「ことばときこえの教室」の設置校だったため、長男は休み時間中に校舎内を移動するだけですみましたが、他校から通われている方もたくさんいらっしゃいました。教室はマジックミラーになっていて、隣室から授業の様子を見学することもできました。
普段の授業を抜けて通うことでの不安や心配なことなどもありましたが、ほんの些細なことでも、その都度クラスの担任や言葉の先生に相談するようにしていきました。もっと早くに私が行動を起こしていればと悔やんだりもしましたが、言葉の先生によると、早い段階で訓練しても、習得が上手くいかない場合もあり、きちんと訓練できるこの時期でよかったとのことでした。
「ことばときこえの教室」に通いだして3カ月目の頃、長男は「カ行」「ガ行」がちゃんと言えるようになっていました。ここまでくるには、とてもがんばっていたようで、長男はお口の体操をよく1人で家でやっていました。
振り返って今思うのは、長男は素晴らしい機会を与えていただけたということです。クラスの担任の先生は、いつも長男を気にかけ、フォローしてくださっていました。
「ことばときこえの教室」の個人個人に合わせた授業内容は、飽きないようにゲームをしながら進めていくなど工夫が凝らされていたので、長男は「ことばの教室はおもしろい」とよく言っていました。また、できないことを克服した体験は本人の自信につながったのではないかと思っています。初めは親子ともに不安でいっぱいでしたが、今では「ことばときこえの教室」に通わせていただくことができて、感謝の気持ちでいっぱいです。
それから、幼稚園の時に担任の先生に言われたのですが、「行くのを嫌がることもあるかもしれないけど、これからの本人のためなんですよ。必要なことだときちんと話したらわかってくれるはずですよ」という言葉は、私の励みになりました。
言葉の発達には個人差があり、長男のように訓練が必要な子もいれば、自然に治る子もいます。発音も長男の場合は「カ行」「ガ行」でしたが、他の発音の場合は習得時期も訓練方法も変わってくるようです。もしもお子さんの発音で気になることがあるようでしたら、健診の時や最寄の保健所、児童福祉センターに相談してみることをおすすめします。
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ライタープロフィール:みかん
小学2年生の男の子と幼稚園年少の男の子の二人の母。自宅では毎日、戦いごっこが繰り広げられ、激しいながらもにぎやかで楽しい日々を過ごしています。